日本遺族会は11日、都内で正副会長らによる幹部会を開き、小泉首相靖国
神社参拝について、「首相の参拝は遺族会の悲願なので粛々と進めて欲しいが、
それと並行して近隣諸国にも気配りと配慮が必要で、理解してもらうことが大
事だ」とする見解をまとめた。

 

遺族会が中国や韓国などへの配慮を打ち出すのは異例で、古賀誠遺族会会長が
会議の中で「一番大事なことは英霊が静かに休まることだ」と述べ、この見解
をまとめている。一方で、靖国神社に代わる新たな戦没者追悼施設の設置に反
対していく方針を改めて確認。靖国神社からA級戦犯分祀することについて
も「政治の宗教への介入であり困難」との意見で一致した。

 

首相が参拝してくれるのは遺族会としては大変有難いことでもあるが、中韓
騒ぎ立てて英霊が静かに休めない環境でも困る、というジレンマの表れだろう
か。だが、中韓が騒ぎ立てる「理由」は、いわゆるA級戦犯靖国神社に合祀
されており、そこに参拝することを問題視している。むろん、政治の宗教への
介入など持ち出すまでも無く、分祀は宗教的には有り得ない話だ。

 

日本の神社では、祭神を残したまま別の社に移す「分霊」はあるが、祭神を取
り除いて別の社に移すという意味での「分祀」は有り得ないのだ。我が国は宗
教に関しては非常に「寛容」な国であるが、右から左に祭神を移せるほどいい
加減なものではない。

 

遺族会の見解をもって小泉首相靖国神社の参拝を取りやめるのか、それとも
近隣諸国(と言っても中韓のみだが)に理解してもらえるようこれまで以上に
「努力」するのか、いずれにしても注目すべきであろう。

 

と思いきや、古賀氏は13日、記者団に対して「発言は私見だ」と説明し、遺
族会としての見解ではないとの考えを示した・・・って、「遺族会」としての
見解ではなく、古賀誠氏個人の私見では話にならないではないか。危うく騙さ
れるところだった。【2005.06.14 追記】