天皇、皇后両陛下は先の大戦の激戦地、米自治サイパン島訪問のため、27
日正午過ぎ、羽田発の政府専用機で出発され、戦後60年の節目にあたり、先
大東亜戦争で犠牲になった人々を慰霊されるのが目的。27日のサイパン
着後は、宿舎のホテルで日本から足を運んだ元日本兵や遺族ら約40人とご面
会し、地元の戦争体験者らと夕食を共にされる。

 

サイパン中部太平洋の絶対国防圏の一角を担い、海軍はミッドウェー海戦
崩壊し、ようやく再建なった空母機動部隊は、サイパン攻略のために結集した
米機動部隊と文字通りの決戦を行い大敗を喫した。そのためにサイパンに取り
残される形となった陸上部隊は、援軍の見込みが絶望的な中、果敢に戦うも圧
倒的な物量の前に玉砕した。また、民間人も約1万2000人が陸海軍人約4
万3000人と運命をともにしている。

 

サイパン失陥により、開戦以来の東条内閣は総辞職。絶対国防圏の要を失うと
同時に、我が国は長距離爆撃機「B−29」の爆撃圏内に収まることになり敗
戦を決定付ける戦いでもあった。そこに天皇、皇后両陛下が慰霊のために訪問
されることの意義は大きいであろう。むしろ失礼ながら遅きに逸した感もある
が、敗戦から60年、遺族も両陛下の訪問を意義あるものと受け止めているこ
とではなかろうか。