第87回全国高校野球選手権大会の6日の開会式前に、高陽東(広島)が全代
表校に黙祷を呼びかけようとした際、日本高校野球連盟幹部が「原爆は広島だ
けのこと。この場でみんなを巻き込むのは良くない」と制した、と毎日新聞
報道したことについて、毎日新聞社は8日、「そのような趣旨の発言をしてい
ないことが分かった」として、発言個所と「原爆は広島だけ」との見出しを削
除する「おわび」を、この発言を掲載した地域の9日付朝刊に載せることを明
らかにした。

 

思い込みとは恐ろしいものだ。言っていないことを言ったことにされたのはで
は、報道された方としてはたまったものではない。高校球児の純粋な気持ちを
まるで踏みにじったような高野連の対応、と言う構図に記事を読んだ読者は怒
りを憶えたことであろう。しかし、それが全くの誤りであった時の憤りは何処
へぶつけなくてはならないのか。どういった経緯で、このような記事が書かれ
新聞に掲載されてしまったのか、明らかにすべきである。

 

これと同じように、真相が明らかになってもいないのに政治家の手によって、
NHKの番組が「改変」されたと断定したのが朝日新聞の報道であった。先月
突如としてNHK番組改変報道に関する経緯が長々と書かれた記事が掲載され
たものの、何の前進も見せないまま集中砲火を浴び見事炎上した。さらに都合
良く、内部資料が「流出」し月刊現代に掲載されるなど散々な状態のまま朝日
は再びだんまりを決め込んでいる。

 

言った言わないの水掛け論に終わるのではなく、真相明らかにするのは報道機
関として当たり前のことであろう。記事が正しいか正しくないかを明らかにす
れば良いのであって、本筋から離れた話はまた別の記事で書けば良いだけのこ
とである。