朝日新聞の長野総局の記者が、新党結成を巡る田中康夫長野県知事の発言を
ねつ造した取材メモを作り、同紙がこのメモに基づく記事を掲載した問題で、
朝日新聞東京本社など4本社には30日午後1時までに、読者などから電話や
電子メールで約200件の意見が寄せられた。そのほとんどが抗議で、「すべ
ての記事が信用できない」という批判もあったという。

 

また同紙は30日朝刊で、〈1〉虚偽のメモを作った西山卓記者(懲戒解雇処
分)が田中知事に直接取材しなかったにもかかわらず、メモをまとめる前に上
司の長野総局長に対し、「知事に直接取材し、知事が亀井静香・元自民党政調
会長と会談した事実を認めた」と虚偽の報告をした〈2〉田中知事から誤報
指摘された後、長野総局長は、知事に直接会って確認するよう西山記者に指示
したが、同記者は取材しなかった〈3〉西山記者が、虚偽報告の事実を認めた
のは、知事の指摘を受けた2日後だった――ことなどを明らかにした。朝日新
聞は再発防止のため、特別チームを社内に発足させると発表しているが、メン
バーを外部から選ぶかどうかなども含め人選は未定としている。

 

文字通りのでっち上げ記事は、朝日新聞の信用を大きく揺さぶっている。NH
Kの不祥事に悪乗りしてぶち上げた番組改変問題も、さしたる成果もないまま
自民党・NHKの反撃に合い、うやむやに決着を図ろうとするなど朝日新聞
ここのところ自滅傾向にあるようだ。自らがオピニオンリーダー足ろうとする
姿勢は買うが、誰も見向きもしなくなった新聞になっては仕方あるまい。でっ
ち上げを見抜けなかった体制もさることながら、「すべての記事が信用できな
い」とまで極論を言われては、ただただ反省するのみである。

 

特別チームを発足するのは結構だが、人選はしっかりとして欲しいものだ。ま
たうやむやに済まそうとしても、多くの読者が監視していることを忘れてはな
らない。今回は言った言わないではなく、そもそもなかったことが記事になっ
ているのである。朝日新聞社に猛省を促したい。
【「虚偽のメモ」で記者解雇 本紙、選挙で誤った記事】