衆院選をめぐる虚偽報道問題で非難の集中砲火を浴びる朝日新聞。「汚点」の
責任を取って箱島信一取締役相談役が新聞協会の会長辞任を表明した7日は、
偶然なのか新聞協会賞の発表日で、3作品で受賞するという「栄誉」も発表さ
れた。朝日にとってはイメージダウンを相殺した格好だが一連の不祥事で「7
万部」の深刻な部数減を指摘する声もあり、防戦に躍起のようだ。今回の虚偽
報道問題で、朝日は当初、「懲戒処分での会見は前例がない」などとして、報
道各社にファクスを送っただけで済ませていた。

 

だが、この姿勢が火に油を注ぐ結果に。現場記者も「不祥事を起こした会社に
は経営トップの会見を要求するくせに、何だ」と怒りをぶつけられるなど、各
方面から非難の声が寄せられた。7日夜になってようやく開かれた謝罪会見で、
秋山耿太郎社長は「メディアとしての説明責任に対する認識の甘さがあった」
「すべて私のミス。夜遅くても開くべきだった」と非を認めた。

 

朝日新聞はABC協会調査によると、7月度の全朝日部数は前年同月比で7万
105部もダウン。東京だけも、2月度から毎月2万−5万部の部数減が続い
ているとのことで、これは虚偽報道によるものだけでなく、やはりぶち上げた
NHK番組改変問題とやらが読者に疑義を抱かせ、朝日離れを徐々に進めてい
たのではないかと勘繰ってしまう。NHKの元幹部や政治家を取材したテープ
などの有無について明らかに出来ない事情があるのは分かるが、このまま放っ
ておいて問題ではないはずだ。

 

特に今回の虚偽報道のように朝日新聞社そのものが問題を起こしたのであるな
ら、さっさと記者会見を開き「堂々」と謝罪をしてしまえば、これほど問題が
尾を引くことをなかったであろうし、自ら説明責任を果たすチャンスは永遠に
失われた。他社に要請されて行う会見と自ら行う会見では雲泥の差があるから
だ。まだまだ集中砲火を浴びることになるであろう朝日新聞、自ら幕を引かせ
るわけにはいかないのだ。