東京電力は8日、夏の軽装「クールビズ」実施で6−8月に約7000万キロ
ワット時を節電できた、との試算結果を発表した。一般家庭が1カ月に使う電
力に換算すると約24万軒分に相当し、約2万7000トンの二酸化炭素(C
O2)排出を削減できたという。節電した量は、東電全体(同期間)の発電量
の0.08%にすぎないが、官民挙げた国民運動で一定の成果を挙げることが
できたようだ。

 

規模の大きなオフィスビルを調査したところ、入居企業の4割がクールビズ
実施し、室温を昨年比で平均約1.4度上げていた。今夏の最大電力は601
2万キロワットで、2001年に記録した過去最大値より418万キロワット
少なかったが、このうち15万キロワット分をクールビズ効果としている。料
金収入はクールビズで約7億円減ったと分析したが、発電に必要な燃料費も節
約できるので、利益への影響はほとんどないとみている。

 

官製キャンペーンとして始まった「クールビズ」であるが、とりあえず一定の
成果があったようで、初年としては上々の出来と言っても良さそうだ。最初は
実施に躊躇していた企業も、徐々に軽装が浸透していったことを考えると、来
年は今年以上の効果が望めるのではないか。資源の無い我が国としては、省エ
ネは機械だけに限らず、人間が出来る範囲でどんどん行うべきであろう。中途
半端に形式ばった格好をしていても仕方あるまい。

 

これに気を良くした環境省は冬には厚着をして暖房の温度を下げようと言う二
番煎じキャンペーン「ウォームビズ」を提唱している。これは脱ぐのではなく
着るのであるから、さしあたって業界の反発も少ないことだろう。簡単に出来
る省エネで、将来の禍根を少しでも減らせるなら協力していきたいところだ。
むろんそれと同時に中国が我が国の排他的経済水域に眠る資源を狙っている懸
念などを解決していかねばならないだろう。節約も何も資源が入ってこないこ
とには始まらないのである。