日本政府は19日、第4回6カ国協議北朝鮮の完全核放棄を盛り込んだ共同
声明を採択したことを高く評価、町村信孝外相は記者団に「一つの大きな前進
をした。第1ステージとしては良かった。最低限確保すべきポイントは確保し
た」と意義を強調した。町村氏は同時に、核廃棄について「どういう手順で進
めるかが問題。そのこと(廃棄)がしっかり検証された後に軽水炉の問題が話
題になる」としており、今後は合意内容の具体化に向けて全力を挙げる考えだ。

 

共同声明では、「日朝両国は日朝平壌宣言に基づき、不幸な歴史を清算し、関
係する懸案を妥当処理することを基礎に関係正常化実現への歩みを取る」との
表現を盛り込まれているが、基づくべき日朝平壌宣言が全て空洞化しているの
ではないか。一方的に核武装を宣言し、嘘で塗り固めた拉致被害者の情報を提
供してくるなど、少なくとも日朝間でまともなやりとりが出来ていたとは言い
難いのが本音である。金正日総書記が拉致を認めてから、早3年である。一刻
も早く拉致問題を解決すべきが、選挙で票にならないと見るや拉致議連は動き
が鈍り始め、経済制裁も事実上棚上げとなっている。

 

北朝鮮と国交を正常化して、我が国に何の得があると言うのか。安全保障上、
国交正常化をしたからと言って我が国に向けられたミサイルの照準を外すとは
とても思えず、現に中国は何発ものミサイルを向けていると言われている。そ
れは同じ民族である韓国にとっても同じことだ。経済レベルが天と地ほども違
う両国が、統一国家を成し遂げるためには韓国側のみが多大な痛みに耐え、痛
みに耐えかねて倒れかねない事態を招くことだろう。周辺諸国北朝鮮の体制
を維持させておく理由は、親切心からではなく国益に適うからである。

 

日朝平壌宣言に基づくのであれば、国交正常化は無いに等しい。核問題を完全
に解決した上で、さらに拉致問題の完全なる解決を我々は求めることだろう。
拉致被害者の家族の方々はもう少しの間、拉致が風化しないよう活動を続けて
欲しい。我々に出来ることは「忘れない」ことなのだから。