小泉純一郎首相は26日午後、第3次小泉内閣発足を受けた所信表明演説を衆
院本会議で行った。郵政民営化を争点にした衆院選で「多くの国民の信任を得
られた」として郵政民営化関連法案を再提出、今国会で成立を期す決意を強調。
郵政後のテーマに政府系金融機関の統廃合などを挙げ、引き続き構造改革を断
行することで「政府の規模を大胆に縮減する」と表明した。またテロ対策特別
措置法を延長、インド洋で海自艦船が行う米軍などへの給油活動の継続を言明。
12月に期限切れを迎えるイラク自衛隊派遣は「現地の状況をよく見極めた
上で判断する」と述べ、延長させる意向をにじませた。

 

この特別国会は本来8月に成立していたはずの、郵政民営化関連法案を通すた
めの国会として位置付けられている。だが、参院で法案が否決されたあの時と
決定的に違うのは圧倒的多数を得た新・自民党の大勢力がバックについている
と言うことだ。さらに言えば全員が郵政民営化賛成を訴えて総選挙を勝ち抜い
てきた文字通り郵政民営化軍団である。むろんこれに支えられた小泉首相がこ
の国会で、好き勝手にやって良いわけではない。まずは郵政民営化を皮切りに
構造改革路線を突っ走り、4年前の「聖域なき改革」とやらが本当に実行され
るのか、骨抜きにされないか野党が監視せねばならないだろう。

 

社会が不安定になると強力な指導者を求め、かえって破滅をもたらしてきた例
は枚挙にいとまないが、今回自民党に投票した人達は何も小泉首相白紙委任
状を渡したわけではないのだ。「いつかきた道」を警戒するような時代錯誤の
文化人や一部メディアのミスリードに惑わされること無く、残り1年なのか、
それとも任期を延長するのかわからないが、投票した以上は無関心を決め込む
のではなく、構造改革が掛け声倒れに終わらないかを見届ける必要がある。今
まで投票に行かなかった人達も巻き込んだ「暴風」は今までのしがらみも全て
破壊してくれることを切に願うものである。