ライブドアが今月から、自社ポータルサイトで、中東のニュース専門衛星テレ
ビ『アルジャジーラ』のニュース配信を始めた。同ポータルサイトのニュース
部門では、他社サイトとの差別化路線を打ち出しており、今回のアルジャジー
ラとの契約も、そうした”品ぞろえ強化”の一環だ。先の総選挙に社長本人が
出馬して話題を集めたのと同様、広告収入増加のためのPV増につながるか。
アルジャジーラは1996年11月、カタール政府などの出資で、英BBCな
どで経験を積んだスタッフらが結集して設立したニュース専門局。イスラム
の国際テロ組織アル・カイーダの首謀ウサマ・ビン・ラディンの声明や、人質
事件の過激な映像放映などで話題となり、またたくまに「中東のCNN」と呼
ばれるようになった。

 

こういったある意味独自のニュース配信は、国内の既存メディアが配信する記
事ばかりが掲載されるサイトより、魅力的なものと映るに違いない。海外のニ
ュースと言えばAPやロイターと言った海外通信社と時事・共同の国内通信社
が実質独占状態であり、今回のアルジャジーラのように日本人にとって馴染み
の薄い中東のメディアが入ってくるのは歓迎すべきことであろう。第一、英語
ならまだしも直で情報を入手しようとしたらアラビア語の読解から始めねばな
らず、ニュースを読むだけで語学的な知識が必要となるのでは手間がかかって
仕方が無い。ブラウザのホームの設定をヤフーに固定している人が多い中、ど
れだけ独自性を打ち出し、なおかつ今以上の注目を集めてヤフーからホームを
奪えるかがライブドアの成長のカギとなるはずだ。

 

ライブドアは社内に報道部門を設立して自前の記者の取材によるニュース出稿
のほか、韓国のメディアで成功した「市民記者制度」の導入。しんぶん赤旗
公明新聞など機関紙との提携やシブヤ経済新聞や六本木経済新聞、琉球新報
どからの地域ニュースにも力をいれてきた。海外メディアでは今回のアルジャ
ジーラとの提携前にも、朝鮮日報バンコク週報などと提携しており、確実に
差別化路線のレールは敷かれつつある。話題集めに事欠かないライブドアであ
るが、話題倒れに終わらないことは評価しても良いところであろう。