自民党安倍晋三幹事長代理は4日の記者会見で、朝日新聞のNHK番組改変
報道をめぐり、朝日新聞が委嘱した第三者機関が「取材が十分だったとは言え
ない」などとする「見解」を公表したことについて「私と中川経済産業相の名
誉は傷つけられたままだ。当然、記事を訂正し、謝罪しなければならない。で
きなければ、朝日新聞はこびりついたねつ造体質を切除できない」と、重ねて
訂正と謝罪を要求した。番組改変報道に関する資料流出問題に関しては、「報
道機関として自殺行為に近いことをやった記者がウソをつき、その後も記事を
書き続けているのであれば、極めて大きな問題だ」と語った。

 

そうなのだ、朝日がぶち上げたNHK番組改変「問題」とやらの真の被害者は
安倍氏と中川氏の両名なのである。当初はそれが当人によって否定されると、
一転してNHKと政治の距離を問うと言ったお得意の論点のすり替えを見せて
さらなる不信を買った。いつもなら援護射撃をしてくれるはずの毎日にも愛想
をつかされ、孤立無援となった朝日は文字通りこれまでのおさらいをまとめた
だけの謎の検証記事を突如として掲載し、「圧力があったと信ずるに足る」と
取材不足を認めながらも、意味不明の勝利宣言をまたしてもぶち上げる始末で
あった。当然、これで終息するわけもなく各方面から集中砲火を浴び、不祥事
続きの社としてどこかで「けじめ」をつける必要があったと思われる。

 

そのタイミングが身内で固めたとは言え、朝日新聞が委嘱した第三者機関に洗
いざらい情報を提供し、断罪してもらうべきであった。それさえせずに、一方
的に幕引きを狙ったのだから、これまで以上の批判があって当然である。取材
が中途半端な記事をスクープ記事であるとして、掲載した朝日の姿勢は報道機
関としても問題であるし、間違った部分は訂正し読者に伝える義務を負ってい
る。扶桑社が公民の教科書でかつて朝日新聞が起こした「サンゴ事件」を掲載
したように、朝日の一大ミスリード記事として今後も扱われていくことであろ
う。訂正・謝罪に応じないのであれば、それも仕方あるまい。