自民党が立党50年記念大会で報告する新憲法草案の前文原案が明らかになっ
た。同党新憲法起草委員会の「前文」小委員会(委員長・中曽根康弘元首相)
が7日の会合で提示した。天皇を前文に書き込んで日本らしさを表し、「国を
愛する国民の努力によって国の独立を守る」と明記して、「国際常識」(党幹
部)の愛国心、国防の意志を盛り込んだのが特徴だ。原案は中曽根氏らが中心
に起草した。天皇は長い歴史を有する日本の国柄そのものとの観点から、「天
皇を国民統合の象徴として戴き」とした上で、和を尊ぶ精神など歴史、伝統、
文化にも触れた。

 

占領期にGHQが9日間でつくった現憲法の前文は、何度読んでも違和感を憶
えたものだが、この美しい島国の伝統と文化、そして脈々と続く世界最古の皇
室と共に歩んできた歴史。それらが作り出したお国柄に触れずして、自主憲法
の制定などおぼつか無いことであろう。冒頭の「アジアの東、太平洋と日本海
の波洗う美しい島々」とはいささか文学的な表現が過ぎるようだが、現憲法
見られる「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存
を保持しようと決意した」以上のような日本語の文章になっていないようなも
のでなければ、良しとしたい。今後は微修正のうえ12日の起草委総会へ報告
する。28日には全条文案とともに党議決定される。

 

自民党憲法前文原案】
日本国民はアジアの東、太平洋と日本海の波洗う美しい島々に、天皇を国民統
合の象徴として戴き、和を尊び、多様な思想や生活信条をおおらかに認め合い
つつ、独自の伝統と文化を作り伝え多くの試練を乗り越えて発展してきた。
日本国は国民が主権を持つ民主主義国家であり、国政は国民の信任に基づき国
民の代表が担当し、その成果は国民が受ける。
日本国は自由、民主、人権、平和、国際協調を国の基本として堅持し、国を愛
する国民の努力によって国の独立を守る。
日本国民は正義と秩序による国際平和を誠実に願い、他国と共にその実現の為
協力し合う。国際社会に於いて圧制や人権の不法な侵害を絶滅させる為の不断
の努力を行う。
日本国民は自由と共に公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実をはかり教
育の振興と文化の創造と地方自治の発展を重視する。自然との共生を信条に豊
かな地球環境を護るため力を尽くす。
日本国民は大日本帝国憲法及び日本国憲法の果たした歴史的意味を深く認識し
現在の国民とその子孫が世界の諸国民と共に更に正義と平和と繁栄の時代を内
外に創ることを願い、日本国の根本規範として自ら日本国民の名に於いて、こ
憲法を制定する。