北朝鮮朝鮮労働党創建60周年を機に金正日総書記の後継者問題が外部世界
であらためて浮上している。後継者として有力視されている二男の金正哲氏に
決まった場合、「金日成金正日」に続く世襲三代目となり、北朝鮮は共産主
義国家というより“金王朝”の色合いがますます濃くなる。ただ一部で観測さ
れているような「労働党60周年」を機にした「重大発表」説についてはソウ
ルの大方の専門家筋は否定的である。最大の理由は金正哲氏がまだ若いことと、
金正日総書記にとって後継者公表を急がなければならないような事情は今のと
ころないからだ。

 

さらに金正日世襲の際の北朝鮮の内部資料は当時、ソ連や中国を「後継者作り
に失敗した」とし、その結果、革命の創業者が否定され「革命の変質」を招い
たと指摘している。北朝鮮は後継者問題では終始、「代を継いでの革命の遂行」
とか「血の伝統」を強調しており「世襲こそが革命を守る道」という考えを貫
くために、世襲を果たすのであろうか。多くの北朝鮮人民を餓死させ、世界に
対して核のチキンレースを挑み、それでも革命の継続性を結局のところ「血」
に求めるあたりが“金王朝”らしい。

 

共産主義国家でありながら、世襲を出来る体制を整えたと言うことはもはや国
の私物化以外の何ものでもない。その一方で中国の呉儀副首相が8日午後、北
朝鮮公式訪問のため平壌入りし、金正日総書記と会談。両者は中朝関係の強化
で一致するなど、周辺国との協調関係も強めており金正日体制の維持に力を注
いでいる。果たして金正日総書記の後継者が後継者足るに相応しいかどうかは、
判断すべきは北朝鮮人民であろうが、偉大なる将軍様のサジ加減一つでどうと
でもなりそうなのが実際のところだろう。