北朝鮮朝鮮中央通信は10日、労働党創建60周年を慶祝する報告大会が9
日、平壌で開催され、金正日総書記も出席したと報じた。大会では最高人民会
議の金永南常任委員長が「先軍思想は党建設と活動の生命線」とした上で、「
軍隊を強化し、革命の軍事的基盤を鉄壁のごとく固めるべきだ」と発言。朝鮮
人民軍を最優先する先軍政治体制を推進することを強調した。金委員長は、こ
れまでの党の業績について「強盛大国建設と民族繁栄の展望を切り開き、社会
主義強国の地位に引き上げた」と総括。一方、北朝鮮の核問題や6カ国協議
対米、対日関係には言及しなかった。金総書記の発言もなかった。

 

労働党創建60周年の大会では、どうやらこれと言って「サプライズ」はなく
これまで通り先軍政治と言う路線を続けていくことを確認したまでのようだ。
勝手に党の業績について「強盛大国建設と民族繁栄の展望を切り開き、社会主
義強国の地位に引き上げた」と総括しているが、どれも現実には即さない偽り
の虚像に過ぎないのは間違いない。その一方では一部で観測が報じられていた
金総書記の後継者内定に関連する動きはなかった。党創建60周年の節目に後
継者問題が表面化しなかったことは、北朝鮮指導部が同問題に極めて慎重に対
応していることをうかがわせる。

 

権力の世襲を軟着陸させるためには、それなりの「平穏」が求められる。今は
その状況ではないと指導部は考えているのだろう。核問題が残る限りは米国と
は対立状態が続き、我が国とも拉致問題が大きなしこりとして残っている。す
べてを解決するのは難しいであろうが、どこかで金正日総書記は手を打たねば
金王朝の継続はおぼつか無い。タイミングを計るのは結構なことだが、いずれ
にしてもタイミングを逸すればどうなるか注目したいところだ。