郵政民営化法案が11日、200票の大差で衆院を通過したことを受け、小泉
劇場の次なる焦点は、自民党に所属しながら通常国会で同法案に反対し、総選
挙で党公認候補と戦った造反議員の処分に移った。来週からの党紀委員会の審
査を前に、武部勤幹事長は厳正処分の方針を変えていないが、党内には恩赦論
も浮上している。処分対象者は大きく分けて、(1)綿貫民輔衆院議長や亀
井静香元建設相ら新党結成組(2)非公認で無所属出馬した議員ら(3)参院
の法案反対組や衆院の棄権・欠席組−の3つに分類される。このうち(1)は
「100%(最も処分が重い)除名」とされるが、党執行部が頭を悩ませるの
は、(2)の中で首相指名選挙で小泉首相に投票し、11日の本会議採決で「
郵政法案賛成」に転じて恭順の意を示した堀内光雄通産相野田聖子元郵政
相ら11人の「白旗組」の扱いだ。

 

雌伏の時を経ることも無く、さっさと白旗をあげた造反組に対してある意味肩
透かしを食らったのは、自民党の執行部だけでなく投票した有権者ではないだ
ろうか。自民党が大勝したことを「郵政民営化は民意」であると大義名分を手
に入れたことによる降伏だったのかもしれないが、とうてい納得出来るはずも
無い恥ずべき行為だ。衆院で青票を拍手喝采の中に投じ、意気揚々としていた
のはほんの2ヶ月前のことである。彼等の信念とはその程度のものであったの
か、反対を貫くよりまずは執行部の処分を切り抜け、自民党に復党したいと言
う安易な考えなら受け入れがたいものであろう。

 

通常国会で同法案に反対し、当選した「自民系無所属」のうち今回も反対を貫
いた議員は平沼赳夫氏わずか1人。残り12人は11人が賛成に転じ、1人が
欠席と言う総崩れの状態に、自民党執行部は手を抜かず「党紀を乱したという
意味では、公認候補を妨害したことが非常に大きな問題だ」と言う武部幹事長
の言葉通り、良い加減な対応をしてうやむやに終わらせてはならないだろう。