靖国神社に代わる新たな国立、無宗教戦没者追悼施設の建設に関する調査費
の扱いが宙に浮いている。政府が、平成18年度予算の編成期限である12月
まで判断を先送りする姿勢を崩さずにいるためだ。小泉純一郎首相が年内に靖
国神社を参拝する考えでいることに加え、各種世論調査で建設賛成論は増えて
おらず、「機は熟していない」(首相官邸筋)との判断がある。建設に積極的
公明党にも、あきらめムードが漂っている。

 

敗戦より60年目の8月15日。靖国神社の参拝者は、過去最高を8万人も上
回る20万5千人を記録しており、国民の間では靖国神社こそ追悼施設である
との感情が根強い何よりの証拠である。いわゆる右翼的な勢力が大挙して押し
かけようがこれだけの人数を稼ぎ出すのは到底不可能であり、ごくごく一般の
方々が参拝した結果であろう。第一、事実上の政教一致政党の公明党がああだ
こうだ言う問題ではなく、あきらめムード以前に国立で無宗教の追悼施設と言
う謎の箱物だかモニュメントを政府主導でやろうと言うのに無理がある。

 

小泉首相は「調査を実施するかどうかも含め、国民世論の動向や与党の意見も
踏まえながら検討する」とこの件に関しては全く関心を持っておらず、公明党
としては学会員向けにポーズだけ延々ととっていれば良い。すでに福祉と平和
の党と名乗るのすらおこがましいほど、自民党寄りなのだからこの際靖国に関
してのみ頑張ったところで仕方あるまい。世論、国民が必要とも思わないもの
を無理矢理作って「英霊は靖国にいるけど、とりあえずこっちで参拝しろ」で
はどこぞの新興宗教と同じである。難癖つけてどうしても作りたいなら、「官
から民」と言うことで民間にお任せあれ。きっと計画倒れになるから。