北朝鮮による拉致被害者蓮池薫さんら5人は14日、日本に帰国して15日
で丸3年となるのを前にそれぞれコメントを発表した。国民の支援に感謝し、
家族でしっかり生活していることを報告。未解決の拉致問題の早期解決に向け、
できる限り協力する意向を表明した。薫さん、祐木子さん夫妻は「思えばいろ
いろなことがあった3年でしたが、家族全員が無事に、自分の自立の道を一歩
一歩進んできた」とし、子供のことは「できるだけ勉強させ、自分の望む道を
見つけさせてやりたい」としている。日朝協議再開の動きに触れ「拉致問題
いよいよ正念場を迎えつつある」と指摘。政府に「すべての知恵を振り絞って
拉致被害者全員の帰国を実現していただきたい」と注文している。

 

地村保志さん、富貴恵さん夫妻は「家族全員が一つ屋根の下で暮らしながら、
それぞれが社会復帰、就職就学を果たし、将来の夢を抱いて職場・学校で精い
っぱい励んでいる」と近況を報告。「気がかりなことは私たちのように北朝鮮
に拉致された方々の安否確認と生存者帰国の早期実現がいまだになされていな
いこと」とした。曽我ひとみさんは「今はそれぞれが自分の将来を考えながら
日々努力して過ごしている」とつづり、一緒に拉致され安否の分からない母、
ミヨシさん=拉致当時(46)=について、「決してあきらめることなく母の
無事を祈り続ける日々を送ることになるでしょうが、私なりに母の行方を捜す
努力をしたい」と書いている。

 

本当であれば、何事も無く普通の人と同じ生活を送れたであろう人達が国家に
よる拉致と言う前代未聞の犯罪に巻き込まれ、ただ普通の生活をすると言う権
利さえ奪われ、日本海を隔てた祖国の土を踏むことは出来なかったかもしれな
い可能性もあったことを考えると、拉致が如何に非道な行為であったことが良
くわかる。文字通り運良く帰国を果たせた拉致被害者達は奪われた時間を取り
返すため家族と平穏な日々を過ごしたいところであろうが、北朝鮮に残されて
いる未だ帰国出来ずにいる他の拉致被害者を気にかけており、拉致そのものが
現在進行形であることを思い出させてくれる。

 

このような区切りの日だけでなく、拉致問題そのものが未だ解決されていない
日朝間の最大の問題であり、最優先で解決すべきことであることを広く示すこ
とが拉致被害者達の助けにもなるのだ。曽我さんが言うように「決してあきら
めない」ことが何よりも重要ではなかろうか。