朝鮮戦争北朝鮮による統一戦争だった」などと発言したことで、国家保安
法違反に問われている現職の大学教授の捜査で、韓国の憲政史上初めて、法相
が「指揮権」を発動し逮捕・拘束しないよう指示したことが、政界や法曹界
保守進歩陣営を巻き込む波紋を呼んでいる。この教授は東国大学の姜禎求氏で、
今年夏、「マッカーサーをご存じか?」というコラムで、朝鮮戦争について、
「当時(朝鮮半島には)外国軍がいなかったので身内の戦いであり、三韓統一
(古代、半島南部に分立していた馬韓辰韓弁韓の三国が争いの末、統一さ
れた)と同様、北朝鮮の指導部が試みた統一戦争だった」などと主張。

 

さらに、「米国が介入しなかったら戦争は一カ月以内で終わったはず」「あれ
だけの殺傷と破壊が米国のせいで起きたことを考えると米国は生命の恩人でな
く生命を奪っていった敵」などと論陣を張った。北朝鮮まがいの主張に、市民
団体が姜教授を国家保安法(スパイなど反国家行為を取り締まる法律)違反で
告発、9月からソウル地方警察が教授を召喚、三回にわたり取り調べを行った。
その間にも姜教授はソウル大の討論会で、「米韓同盟は反民族・反統一・隷属
的なものだ。1946年当時、朝鮮の人々(韓国人)は共産主義を資本主義よ
りはるかに好んでいた」とも発言した。

 

どうやら検察当局は命令を受け入れたが、金総長は「検察の中立性を損なう」
として辞表を提出し政府はそれを受理したようだ。ここまで親北政権ともなる
と本来の保守層だけでなくとも違和感を感じざるを得ないであろう。憲政史上
初めてとなる法相の「指揮権」発動は、明らかな韓国にとっての反国家的な行
為を政府公認で見逃してやることになるだけでなく、誰を利するのか言わずも
がなである。若い世代であればあるほど、北朝鮮に親近感を持っていると言わ
れており、このような教授が教壇にたって実際にこのような持論を展開してい
る姿を想像するだけで末恐ろしいばかりだ。

 

野党ハンナラ党は、「韓国の体制、正統性を否定する姜教授に関する検察の意
見を法相が黙殺するとは司法秩序の無視」と、千法相の解任決議案を国会に提
出する方針のようだ。急激に左旋回を続ける韓国も何処かで揺れ戻しが訪れる
ことであろうが、このまま親北勢力が拡大していくようでは本当に米韓同盟も
失われていく可能性もあるだろう。