訪中しているラムズフェルド米国防長官は19日、曹剛川国防相と会談、中国
の軍事力増強に関し透明性向上を求めたのに対し、曹国防相は国防費の「隠れ
予算」を否定、議論は平行線に終わった。一方で双方は軍事交流拡大で一致し
た。長官はこの後、胡錦濤国家主席(中央軍事委主席)とも会談、台湾問題や
両国の「建設的関係の発展」の必要性などをめぐり意見交換した。ラムズフェ
ルド長官は曹国防相との会談後の共同記者会見で、中国の急速な軍備増強が世
界の懸念を高めているとし、透明性を高めるよう曹国防相に促したことを明ら
かにした。

 

これに対し曹国防相は、中国は経済発展と国民の生活向上に政策の重点を置い
ており、軍備増強は必要な範囲であり、「国防に巨費を投じる余裕はない」と
反論。宇宙開発費などは国防予算に含まれていないが、「隠し予算」はなく、
「今年の国防費は三百億ドルだ」と説明した。ラムズフェルド長官は6月に「
中国を脅かす国はないのに、なぜ軍事支出の増加が必要なのか」と中国を批判。
7月には米国防総省が「中国軍事力」報告で中国の国防費は「公表の2、3倍」
で「地域の脅威になる」と警告していた。

 

中国の軍拡は誰の目にも明らかである。国家の威信をかけての宇宙開発にして
も、先日行われたロシアとの合同演習にしても、こと軍事的なことに関して極
東においてもっとも激しい動きをしているのは中国であろう。国防費が300
億ドルと言うのも実体ベースで見れば、人民解放軍の人件費の極端なまでの安
さがそれを支えているのではないか。我が国の防衛費の半分が人件費で消えて
いるのとは対照的である。また、台湾に対する反国家分裂法にしても台湾が独
立を宣言した場合「非平和的手段」を取ることを合法化しており、もともと中
華人民共和国の力が及んだこともないはずの台湾に対して分裂を許さずと言う
強弁には呆れるばかりだ。

 

日頃、一連の靖国問題や歴史教科書問題で我が国に対して軍国主義復古主義
の復活などと中国は批判をするが、真の軍国主義は他でもない中国なのだ。今
の時代、中国の領土を狙おうなどと思う国家は存在せず、むしろ経済的にはか
なり依存している国々も多い。それらの外資の投資があってこそ、中国も高成
長を続けることが出来るのであるから、軍拡を続けて警戒心をもたれては仕方
ないだろう。世界が懸念を高めるのも当然だ。