有線通信大手のUSENが20日発表した平成17年8月期の決算で、通信と
放送の有力な融合モデルとされる無料インターネット放送サービス「GyaO
(ギャオ)」事業の収支が、営業赤字であることが分かった。約半年間に25
0万人の視聴者を集めた一方で、コンテンツ調達費用がかさんだからだ。TB
Sに経営統合を迫る楽天は、その提案書の中で「(通信と放送の融合で)企業
収益が増加する」と強調するものの、確実な増収モデルは手探り状態だ。地上
波放送と違い、ブロードバンド(高速大容量)と放送を融合させたギャオの特
徴は、時間に左右されずにニュースや映画、ドラマを楽しめること。4月25
日の放送開始以来、視聴登録者はうなぎのぼりで「近く300万人を超える」
宇野康秀・USEN社長)勢いを見せる。

 

無料である点はテレビの民放と変わらないが、時間に左右されずに視聴出来る
点はこのGyaOの最大の魅力であろう。個人的にも好きな海外のアーティス
トのライブが期間限定で見られると言うことを聞き、視聴登録したサービスだ。
無料であるわけだから、当然広告収入で収益を賄わねばならないが広告料の基
礎となる視聴登録者をかき集めるのに魅力あるコンテンツを買い付けてこなけ
ればならず、それが収益を圧迫しているのがこの決算で明らかになったわけで
あるが、放送と通信の融合において必ず問われるのが、このコンテンツの中身
であろう。視聴者それぞれを満足されるだけのジャンルと量を整えるとなると
長期的な投資がどうしても必要となってくる。

 

それを最強のコンテンツメーカーであるテレビ局と組むことで一挙に解決しよ
うとしたのが、ライブドアであり楽天であった。テレビ局は映画事業も手がけ
ており、蓄積されたコンテンツは何ものにも換えがたい「財産」である。これ
を手に入れるためにネット系の企業は提携であったり、はたまた株式取得によ
る統合の申し入れであったり、手段を問わず挑んでいる。確かに自前で用意す
ることは出来なくはないだろうが、ノウハウや有力なコンテンツと成り得るか
わからないものに投資するのは二の足を踏むはずだ。楽天とTBSの攻防もそ
うであるが、放送と通信の融合のテストケースとしてGyaOの先行きを見て
いくのも面白いであろう。