世界的な貧困根絶キャンペーンに合わせて国内で300万個販売された腕輪「
ホワイトバンド」に対し、購入者から批判が出ている。「売り上げの一部は貧
困をなくすための活動資金となる」との触れ込みだったが、食料などを送るわ
けではなく、細かな使途も決まっていないため。事務局は「ホワイトバンド
『貧困をなくす政策をみんなで選択する』意思表示が狙い。分かりにくかった
かもしれない」と説明し、店頭で、募金活動ではないことを強調する表示を始
めた。ホワイトバンド運動はアフリカの市民活動家らが、包帯や布などの「白
いもの」を着けて貧困撲滅を自国政府や先進国に訴えたのが始まりとされる。
今年7月に開かれたグレンイーグルズ・サミットへ向け、「ほっとけない 世
界のまずしさ」をキャッチフレーズに、70カ国の市民団体が運動を展開し世
界に広まった。

 

日本では約60の市民団体が事務局を結成し、PR会社「サニーサイドアップ
(東京都渋谷区、次原悦子社長)が協力。7月から、レコード店やコンビニエン
スストアなどで1個300円の腕輪を発売している。ところが、先月からインタ
ーネット上で、途上国を直接支援しないことへの批判が出始めた。事務局にも「
途上国に募金が送られないと知っていたら買わなかった」「利益の使途を詳しく
知りたい」などの批判や問い合わせが約500件も寄せられている。8月に購入
した千葉県柏市の女子大生は「募金にならないなんて知らなかった」と話す。
ようやくマスコミでもホワイトバンドの胡散臭さが報道されるようになってきた。
事務局によれば材料費や流通費などを除いた売り上げの44%を、活動の広告費
や事務局の人件費、政策提言の研究費、PRイベントの費用などにあてることと
なっていたが今月末までに詳細な使途を決めるという。これはきちんと監視せね
ばならないだろう。

 

運動を煽るだけ煽って利益が確定した時点で頬かむりをされては、ホワイトバン
ドの売り上げに貢献してしまった人々があまりに憐れである。使途不明金に終わ
らせるのではなく、きちんとした会計報告をさせ、どれだけの効果を上げられる
かを長期に渡って公表させ続けるべきだ。「やっぱり無理でした」では済まされ
ることではなく、もともと貧困を無くそうとする意思表示はホワイトバンドをつ
けなくては出来ないことではない。我が国のホワイトバンド運動に疑問を呈して
いる紀藤正樹弁護士のように真っ向から正論で問題点を指摘している人もおり、
これをただの一過性のもので終わらせてしまったら、我が国においてNGOやN
POといった非営利の団体に無用な誤解を生むこととなるだろう。問題点をきち
んと認めた上で、改善を促していくべきであろう。