自民党は22日午前、東京・高輪の新高輪プリンスホテルで、「立党50年記
念党大会」を開いた。同党は1955年11月15日に、自由党日本民主党
保守合同により誕生した。小泉首相は演説で、先の衆院選での自民党大勝に
ついて、「50年の実績と、これからの改革意欲に期待する声で、大きな責任
を感じている」と振り返った。そのうえで、「日本の近代政治史で奇跡とも言
える大きな改革は、明治維新の改革と、敗戦で灰燼に帰した日本の発展だが、
国民に大きな犠牲を強いた。平和のうちに世界の変化に対応できる改革をする
かが、政権政党である我々の責務だ」と述べ、構造改革路線を継続し、「改革
の党」として進む決意を強調した。

 

武部幹事長が、「世界平和の実現に貢献」などをうたった新理念と、「新憲法
制定」「教育基本法改正」「小さな政府実現」などを目指す新綱領を正式発表
した。党本部が選挙区支部解散を行えるようにするための党則改正案を説明、
了承された。党新憲法起草委員会委員長の森前首相は、「自衛軍」の保持を明
記し、プライバシー権、環境権など新しい権利を盛り込んだ新憲法草案を発表
した。閉幕にあたり、行財政改革や党改革への決意をうたった「立党50年宣
言」を採択。9月の衆院選で初当選した新人衆院議員83人を代表して、杉村
太蔵氏が宣言を読み上げ、自民党の変化を印象付けた。

 

紀宮さまの御成婚のため一週間ずれ込んだ形となったが、自民党の立党50年
記念党大会が開かれた。一時は野党に転落したものの、禁じ手とも言える手段
で与党に復帰するなど世界に類を見ない長期に渡る政権党として、我が国に君
臨し続ける自民党。「単独政権は腐敗し崩壊する」と保守合同の際に予期され
ていたように、政治とカネの問題を問われ続けるようになると短期政権が続き
自民党内での派閥同士の抗争が激化する事態を招いた。キングメーカーとされ
る大物が、総裁候補を自在に操る体制は決して望ましいものではなかった。

 

そのような時代を考えれば、今の自民党自民党であって自民党ではないとも
言えるほど様変わりをした。派閥はその機能を失いつつあり、派閥の領袖に阿
ることなく総裁が人事を行い、選挙の際の公認権も完全に党本部が奪取した。
強いて言えば従来の支持基盤が弱体化し、公明党を率いる創価学会に密着され
たことは将来を考える上で、自前で新たな支持基盤を持たないことには大きな
問題となるだろう。学会が今後どのように政治に関わってくるか、これによっ
自民党の政策がぶれるようでは困るのだ。

 

【自民立党50年宣言要旨】
民主主義の下、平和と自由を愛する国民政党として立党以来この50年間、国
民の負託に応え、幾多の問題を克服し、常に主導的役割を果たしてきた。
この半世紀、わが国は国際化の道を歩み、冷戦が終焉し、世界が大きく変動し
た。いまや少子高齢化、国際テロリズムの激化への対応など多くの課題を抱え
ている。先人が明治の改革、戦後の改革に大胆に取り組んできたように、新し
い党の理念と綱領に基づき、構造改革行財政改革、党改革など諸改革を進め
ていかなければならない。わが国の歴史と伝統と文化を尊び、その是をとって
非を除き、道徳の高揚に努め、国際社会の責任ある一員として積極的に活動す
る国家の実現を国民に約束する。