政府は3日、マンションなどの耐震強度偽装問題に関連し、年内に実施する民
間の指定確認検査機関の立ち入り調査の結果を踏まえ、国指定の48検査機関
の評価をランク付けしたうえ、問題のあるランクの検査機関が審査した全国の
マンションなどについては、耐震性の全棟検査を国の責任で実施する方向で検
討に入った。また、不適切な審査が判明した検査機関に対しては、速やかに指
定を取り消す行政処分を行うなど、厳しい対応を取る方針だ。政府は従来、一
般的な欠陥マンションは業者と居住者間の補償問題として、国が個別のマンシ
ョンの検査に乗り出すことには慎重だった。しかし、今回、民間の指定確認検
査機関「イーホームズ」がマンションなど28棟の偽装を見落としていたこと
が発覚するなど、民間検査機関の審査事務が十分に機能していない実態が浮き
彫りになった。

 

このため、国民の不安の広がりを抑えるためには、耐震性検査の費用の全部ま
たは一部を負担してでも、マンションなどの安全性を政府が確認する必要があ
ると判断した。問題のある検査機関に対する徹底した調査や厳しい行政処分
より、民間による検査制度への信頼性を取り戻す狙いもある。民間に出来るこ
とは民間へと検査を任せたことそのものが悪いことではない、まずはこれをは
っきりとさせておくべきだ。政府批判の材料として、審査は行政が責任をもっ
てやるべきだったとするような連中もいるかもしれないが、民間の検査機関で
あろうが審査をきちんとやるのは当然である。国が指定したのは、それなりの
基準をクリアーして上で認可しているのだから、きちんと仕事をしてくれるで
あろうとして任せているのだ。

 

だが、ここまで検査機関に疑惑の目が向けられるようになると、さすがに国と
しても黙ってはいられないだろう。どのビルが偽造されていてもおかしくない
現状は、住民だけでなくこれから買おうとしている人にとっても不安であろう
し、少なくとも国のお墨付きをもらうことで安心を得ることが出来るのであれ
ば、この対応は間違いではないだろう。誰が偽造を指示し、誰がそれによって
利益を得ていたのか、何故偽造を見抜けなかったのか、外部の建築士によって
偽造が見抜かれ注意が喚起されたにも関わらず放置したのか、何一つ疑惑が解
明はされておらず、国が出てきたからと言って幕引きとなるではない。言い換
えれば全てはこれから、である。