耐震データ偽造問題で、偽造が発覚して次々に休業している全国のビジネスホ
テルの開業指導をしている「総合経営研究所」の内河健社長が、工法・経営指
導先の中小ゼネコン向けの会報で、構造設計担当の建築士を代えてでも鉄筋を
減らすよう推奨していたことが分かった。計算式を基に、単位面積当たりの鉄
筋量を減らすことを詳細に記載しており、社長自らが構造設計に深く関与して
いた実態が浮かび上がった。総研は、ホテル開業指導の一方で、全国の建設業
者300社に技術・経営を指導。うち約160社は、海外の資材や工法を導入
できる「SG会」として登録し「特別情報」とする会報を配布されている。

 

問題の個所は、今年7月号に内河社長の直筆のコピーで「構造設計・設計屋さ
んの考え方で大変な差がある現実の話」と題して書かれており、設計にかかわ
った二つのホテルを比較。一方の「Pホテル」の1平方メートル当たりの鉄筋
量が109.2キロなのに対し、「Sホテル」は69.55キロで、差の39.
65キロにPホテルの延べ床面積をかけて165トンの鉄筋(1824万円分)
を節約できるとしていた。さらに、この節約分が建築請負費の2.6%にあた
るとして「構造計算屋さんを変えるだけで2.6%原価が違うんですよ」と強
調している。

 

正に悪の黒幕として総合経営研究所内河健氏が登場したわけであるが、とり
あるず鉄筋を節約することで原価を安くしようとはとんでもないこととしか言
いようが無い。施工側の見積もりが高かった場合、総研が鉄筋やコンクリート
の量を減らして坪単価を抑えるように指導していたことも分かっており、指導
の名の下に、実態は耐震性に問題のあるホテルが建てられてきたことは業界に
とっても戦々恐々としているのではないか。信用して建てたホテル側としても
いきなり耐震性に問題ありと突きつけられては、本当にやりきれないだろう。

 

現在、総研のホームページを見ると『今回の耐震強度偽造問題では、弊所が主
導的な役割を果たしているかのような報道であり、また、事実とは異なる報道、
誤解を受けるような報道もあり、弊所の信用問題に発展しているため、順次ホ
ームページにてコメントを発表させていただきたいと思います。現在、弁護士
を委員長とする社内調査委員会を設置しており事実関係を調査しております。』
と記載されている。報道内容について総研としてのコメントを発表しているペ
ージもあるので見ておいて損は無いだろう。
【総合経営研究所ホームページ】