耐震強度偽装問題で、住民支援策の対象となっている分譲マンション10件か
ら退去した101戸の大半が民間住宅に転居し、公的住宅など自治体が用意し
た受け入れ先には12戸しか入居していないことが30日、国土交通省の調べ
で分かった。国交省は、部屋が狭かったり、マンションから離れていたりする
ことが敬遠された理由ではないかと分析している。国交省によると、101戸
の退去先は、民間住宅89戸、公営住宅5戸、住宅供給公社などの公的住宅が
5戸、都市再生機構の住宅が2戸。分譲マンション10件に当初入居していた
288戸のうち、29日時点で未退去は187戸。このうち47戸が1月中旬
までに退去予定で、100戸は移転の意思を確認済み。残る40戸の意向は、
まだ確認できていないという。

 

もともとヒューザーが販売したマンションはそれなりの値段で広めの部屋が売
りであった以上、そう簡単に代替の物件があるわけもなく、住民支援策が難し
いのはこの辺りではなかろうか。いきなりこちらの部屋に移れと強制的に行う
わけにもいかず、一番の被害者である住民としてもなるべく今までと同じよう
な環境に住みたいのは当然であろう。この手の問題で一番もどかしいのが、本
来賠償責任を負うべき売り手側に、支払い能力がなく結局はうやむやになり、
買い手が泣き寝入りをせざるをえないと言う事態だ。現実にヒューザーの現預
金は数億円程度との報道もあり、どう転んでも支払うことは出来ず報道が沈静
化すれば被害者以外は誰もが忘れてしまう過去の事件となってしまうだろう。