新日本プロレス東京ドーム大会(4日、観衆=4万3000人=満員)日本プ
ロレス界の盟主を自負する新日本がこの日の東京ドーム大会を最後に、同ドー
ムでの興行から“撤退”する可能性が急浮上した。サイモン猪木社長が、5月
の定期大会開催を未定としていることを明らかにした。89年4月の初開催以
来、新日本にとって、集客が見込める東京ドーム大会は今回が35回目。撤退
路線を明言している幹部もいる。サイモン猪木社長は、年3回の東京ドーム興
行について、「できるだけ継続させたい」としながらも、5月の次回定期興行
を未定とした。新日本・沼谷幸(こう)執行役員は「(撤退)路線はかわらな
い」と明言している。

 

4万人を割った前回の興行よりは少しはマシな人数を集めたようだが、年3回
のドーム興行を維持するだけの体力は今の新日には無いだろう。そこまでやる
理由もなく、ジリ貧を回避するためにユークスと言う上場企業に経営権を売り
渡すまでしたからには、悠長に構えているわけにもいかない。とにかく、所属
しているレスラーに魅力が無くなってしまった以上、元WWEの大物をメイン
に据えてまでも生き残りをかける姿勢は企業努力として見れば、しごく真っ当
のように見えなくは無い。だが、果たしてそれがファンの望むものなのかと言
えば必ずしもイコールでは無いだろう。全日で大暴れしていたジャイアント・
バーナードを引き抜き(契約選手ではなかったのでこの表現は正確ではないが)
ブロック・レスナーにタイトルを持たせ、圧倒的な力の下に日本人レスラー
が打ちのめされていく。

 

今後は大きな大会にはレスナーをリングに上がらせ、絶対的な王者としてでも
君臨させようとでも言う腹なのだろうか。契約がこじれてベルト返上とならな
ければ良いのだが、日本のリングより良い条件があれば他に戦場を変えるのが
ガイジンのサガであろう。あくまでビジネスであるとドライに戦い続けるのが
当たり前なのだから仕方あるまい。彼等を継続的にメインに据えるにはそれな
りの対価が必要となるは間違いなく、果たしてそれだけの費用対効果が見込め
るのかと言えば、ただただ首をかしげるばかりである。