中国各地で農民や労働者による抗議行動が相次ぎ、胡錦濤政権への圧力が増し
ている。7日付国営新華社通信によると、甘粛省張掖市の人民法院で6日、農
民の男が爆発物で自爆、男を含め地元共産党幹部ら計5人が死亡、22人が重
軽傷を負った。7日付香港紙「太陽報」も、重慶市の地元企業の所有地転売に
からみ労働者2000人と警官隊が衝突したと伝えており、民衆の不満は高ま
る一方のようだ。環境汚染に抗議し当局と衝突する事例も相次いでおり、こう
した事件の急増は、貧富の格差拡大や、官僚腐敗の蔓延を放置している胡政権
への民衆の明確な不満の表れだといえる。

 

問題視されている中国の急激な貧富の格差は、特に農村部の住民の不満を呼び
このような抗議行動にとどまらない暴動にまで発展しているのであろう。ただ
単に貧富の格差への不満に止まらず、深刻とされる環境汚染と言うそこに暮ら
す住民にとって健康被害を受けるであろうケースでの抗議活動は、我が国も公
害を経験しているだけに、経済成長を続けていく中で環境対策などは後回しに
される部分であることが容易に想像がつく。それだけに一党独裁体制の中国の
ように極めて深刻化しても、なお工場の稼動を続けたり何ら対策を施さない可
能性すら有り得るだろう。

 

経済成長を背景に力を増していくであろう中国も内には多数の貧困層を抱え、
頻発する暴動に共産党の腐敗、長らく続いてきた多くの矛盾が表面化する中で
どのような手を打つか実際のところ手をこまねいているのではないか。反日
不満のはけ口にすると言っても、そのエネルギーが政府に向けば逆効果であろ
うし、今日食うに困る極貧層には反日などどうでも良い話で、あくまでそれに
踊らされるのはインテリ層くらいなものだろう。アジアでの覇権をにらむ中国
にとって最大の敵は国内問題と言っても過言ではない。