耐震強度偽装事件で、姉歯秀次・元1級建築士による偽装マンション約20件
を販売した開発会社「ヒューザー」が30日、「建築確認で偽装が見逃された
のは自治体の責任だ」などとして、東京都や横浜市など首都圏の18自治体を
相手取り、計約139億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。訴
状などによると、ヒューザーは26件のマンションについて、「18自治体は、
建築確認や完了検査で、構造計算書の改ざんを見逃した」と主張。民間の指定
確認検査機関が建築確認を行った物件についても、最高裁判例により、自治
が責任を負うとしている。

 

請求額のうち計約109億円は、ヒューザー瑕疵担保責任に基づき住民に支
払い義務を負う補償金や、欠陥マンションの解体・補強工事費など。残り30
億円は、ヒューザーが社会的信用低下などで受けた損害などとしている。つい
にやけっぱちの損害賠償に打って出たヒューザー小嶋社長。社会的信用低下が
云々言う前に生活基盤を台無しにされた住民への誠意ある対応はどうなったの
だろうか。損害賠償で得る「予定」の金で住民への補償を行うと言うのは勝手
だが、いつ終わるとも知れない裁判で果たしてその間の住民への対応はどのよ
うにして行うつもりなのか。それをはっきり説明しないまま、裁判へ突入する
姿勢は不信を買うだけであろう。

 

責任を取らないばかりか、それを行政に全て押し付けようとはあまりに身勝手
な対応であり、証人喚問の際に答弁拒否を繰り返し真相をぼやけさせようとし
た罪は大きい。参考人招致の時の威勢の良い姿勢はどこにいったのか、話すべ
きことは話し、我が国を文字通り揺らすに揺らした耐震偽装の問題をつまびら
かにするのが小嶋社長が今出来る最良の選択である。ただの時間稼ぎとして裁
判を利用するのであれば、決して良い結果に終わらないだろう。