安倍晋三官房長官は31日午後、来日中のタイのソムキット副首相兼商業相と
首相官邸で会談した。2月4日から北京で開く日朝並行協議に関し、安倍氏
「(北朝鮮に拉致された疑いがあるタイ人女性の)アノチャ・パンジョイさん
の件について、日朝協議でも北朝鮮に照会する。この問題でしっかりと日本と
タイは連携し、同じ認識を持って解決に向け努力していくことが大切だ」と指
摘。同副首相も「日本の協力に感謝したい。今後とも連携をしていくことが重
要だ」と応じた。

 

我が国だけでなく、世界各地で拉致と言う国家的犯罪行為を繰り返してきた北
朝鮮を相手にするには、このように他国と連携していくのが望ましい。拉致が
ようやく交渉の俎上に乗ったのは、本当にたかだか数年前でありそれまでは、
拉致など存在しないかのような国内の風潮に、拉致被害者の家族達は肩身の狭
い思いをしたことであろう。北朝鮮が拉致を認めた後も、時代背景が根本的に
異なるにも関わらず強制連行説を持ち出し、一方的な批判は許されないかのよ
うな論陣を張る連中もいたわけだが、さすがに支持を得られずに駆逐されたの
は結構なことであった。

 

本来であれば、最大の拉致被害国は韓国であるはずだが被害者の家族の思いと
は別に政府は徹底的な宥和政策をとり、強硬的な態度は見せずにひたすら北朝
鮮に合わせている。日韓の連携がとれないのは本当に痛いところであるが、国
と国の関係である以上は、そこに踏み込んでいけないのが現実であろう。何よ
り不憫でならないのが、韓国の拉致被害者の家族であり、韓国の世論を突き動
かすために、まずは日・泰の連携をもって拉致の全面的な解決をはかるより他
あるまい。今出来ることが限られているなら、その中でやれることをやるしか
ない。まだまだ拉致問題は終わらないのだ。