日本政府は31日、閣議で国会に提出する政府答弁書の内容を決定した。答弁
書は「中国脅威論」を否定するもので、歴史問題をめぐっては95年の村山富
市元首相の談話に示された立場を堅持している。答弁書は、「中日共同声明」
「中日平和友好条約」が両国間のすべての紛争を平和的手段で解決し、武力に
は訴えないと明確に規定していると指摘。中国に日本侵略の意図があるとは考
えず、中国を脅威と見なさないという認識を示した。答弁書はさらに、昨年8
月15日の小泉首相談話や、アジア・アフリカ首脳会議での小泉首相談話が、
村山富市元首相が95年に発表した談話と同じ立場を取っていると指摘。日本
は戦後、軍事大国にはならず平和的手段であらゆる問題を処理していく立場を
一貫して堅持し、世界の平和や繁栄に貢献することを決意している、とした。

 

答弁書は、照屋寛徳衆議院議員の質問に対する書面回答として作成された。照
屋議員は、麻生太郎外相が先月、中国が「かなり脅威になりつつある」と公の
場で表明したことをめぐり、日本政府の姿勢を問いただしていたこともあり、
今回の質問を出したのであろうが、政府の公式見解として中国が脅威であると
言うわけにはいかないのが事実といったところか。国際社会を相手にしていく
上で、名指しで批判をすることはそれなりの決意が必要とされ、ましてや隣国
相手にそのようなことをはっきりと言うわけにはいかないであろう。文字通り
日中関係は終わってしまうことになる。

 

だが、中国に我が国の侵略の意図があるとは考えずとの部分には疑問を投げか
けたいところだ。何より我が国固有の領土であるはずの尖閣諸島の一方的な領
有は、侵略以外の何ものではない。人様の物を勝手に領有を宣言した上に、国
内法に過ぎない「領海法」を根拠として東シナ海の資源開発を推し進めるなど
とかく領土的野心を隠そうともしない中国に、周辺諸国が危機感を感じて当然
ではないか。世界の平和と繁栄を中国が望むのであれば、まずは自国中心の振
る舞いをいますぐ改めるべきだ。脅威を脅威として認めるには、中国の行いは
十分すぎるほどなのだから。