欧州の複数の新聞がイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載した問題で
3日、モスクで礼拝を終えた中東の群集が怒りを爆発させた。中東各国で群集
が欧州の国旗を燃やし、「冒涜的な」風刺画に対する復讐を誓うなどの騒ぎと
なっている。問題の風刺画はデンマークの新聞に最初に掲載され、のちにノル
ウェー、フランス、ドイツおよびスペインの各紙にも転載された。ガザにある
アル・オマーリ・モスクでは、ある礼拝参加者が「われわれは、必ず責任者ら
の首を取らずにはおかない」と怒りを表明した。湾岸諸国では、店やスーパー
の棚からデンマーク製品を排除する動きが広がった。また、デンマーク製品を
イスラムの名の下に」ボイコットするよう訴える携帯メールが出回った。

 

宗教とは、それが自分の信仰する宗教でなくとも敬意を払うものべきであろう
が、こと欧州とイスラム諸国にとってはそうでもないようだ。もともと偶像崇
拝を固く禁じるイスラム教にとって預言者ムハンマド肖像画や偶像は存在せ
ず、唯一神アッラーに祈るのがそのスタイルであろう。そのムハンマドを風刺
画として扱っただけでも、イスラム教徒にとってそれは許しがたいことであろ
うが、欧州側は表現の自由を主張し突っぱねた状態がイスラム教国の怒りを助
長し、事態が複雑になりつつある。宗教によって戦争が起きてきただけに、や
はり極東の我が国とは隔世の感があるかもしれない。宗教が身近ではないこと
も、我が国が宗教の理解を深める機会を削いでいる。タブーと言えば「鶴のタ
ブー」くらいのものか。