日本、北朝鮮両政府は包括並行協議2日目の5日、北京市内のホテルで拉致問
題の協議会を開いた。拉致問題の進展を最優先課題とする日本側は(1)生存
者の帰国(2)真相究明(3)拉致の実行役とされる辛光洙容疑者らの引き渡
しなどの具体的措置をとるよう強く要求。北朝鮮側は拉致被害者横田めぐみ
さんの「ニセ遺骨」をめぐる日本側のDNA鑑定結果などに反論した。協議は
平行線のまま昼休みを挟んで計約9時間に及び、6日以降も拉致問題の協議を
継続することで一致した。

 

拉致問題が日朝間の最優先課題なのは当然であるとして、国交正常化の交渉な
ど全ての懸念事項が解決された上で始めるものであろう。特に核開発の問題は
北朝鮮だけでなく、中東ではイランの核開発が安保理に付託されることとなり
身勝手な核開発には国際社会の連携が必要とされる。少なくとも北朝鮮側は、
我が国の要求に対して何らかの回答を用意し、彼等が望むのであれば国交正常
化に向けての足がかりを築いていけば良い。その際に体制の保障などする必要
はなく、我が国内の法に則って北朝鮮の体制批判を正常化後も続け、人権問題
を中心に国際社会に働きかけていく方が得策だろう。

 

拉致被害者達が帰国し、失われた20数年の時間をゆっくりと取り戻しつつあ
る中で、未だ帰国が適わない拉致被害者達を一刻も早く救い出すべく、いつま
でも北朝鮮が不誠実な対応を取り続けるのであれば、国民は失望を覚えるだろ
う。今後も継続して拉致問題が協議のテーブルに乗るのは結構なことだが、時
間だけが無常に過ぎていくのだけは勘弁して欲しいものだ。北朝鮮の時間稼ぎ
拉致問題が利用されるのは断じて許されない。