熊本県の建築物に耐震強度不足の疑いが出ている問題で、熊本市の賃貸マンショ
ン2件と八代市のホテルを構造計算した中山明英一級建築士が13日、熊本県
で記者会見し、強度不足を指摘した建築士団体の調査について「データの入力ミ
スがある」と指摘、あらためて強度不足はないとの認識を示した。中山建築士
よると、マンション1件について、10日に熊本市から再調査の資料を受け取り、
所持している原本と比較した。その結果、再調査では太さ29ミリの鉄筋を25
ミリと入力していたり、鉄筋数が少なかったりした。中山建築士は「別の建物と
思っていいくらいのミス」と主張。正しいデータを入力すれば耐震基準の1・0
を上回る数値が出るとしている。

 

誰もがいわゆる姉歯物件だけで耐震偽装の問題が片付くとは思ってはおらず、何
より自分が住んでいるマンションや泊まる予定のホテル、また働いているオフィ
スビルにしても、まさかデータの偽装が行われているなどとは信じたくはない。
そのほんのわずかの希望すら打ち砕くかのように、「まずは」熊本県で偽装され
たと思われる建物があることが発覚した。こうなると、どの建物も危ないのでは
と疑心暗鬼にかられ、衣食住の一角を成す住宅そのものに対する疑念が生まれか
ねない。残念なことだが、もはや一部の人間達が起こしたことでは済まない状態
にまで事態は逼迫していると見て良い。

 

自治体が中心となり、徹底的な物件に洗い出しが必要であろうが何よりも自治
に専門家がまんべんなくいるわけもなく、現実問題として検査機関と協力して解
決していくべきことなのは間違いないところだ。信頼を失った民間検査機関をは
じめ、本来の役割とともに信頼を取り戻す機会として、自ら進んで耐震偽装の問
題の深層を追求して言って欲しいものだ。