北朝鮮の官営メディアは今年も、金正日総書記の誕生日に神秘的な自然現象が
各地で発生し「人民は感激に包まれた」と、権力者崇拝の宣伝を展開している。
ラヂオプレスによると北朝鮮朝鮮中央放送平壌放送は16、17の両日、
首都の平壌などで神秘現象が見られたとし、まず16日朝、平壌などでは「太
陽に特異な半円形の日がさが生じ、太陽の周りに七色に美しく輝く光」が現れ、
それは「敬愛する将軍の誕生に2月の空が繰り広げる祝賀の花束のようだった」
と伝えた。放送は「これは前例のない現象で、敬愛する金正日将軍が天の生ん
だ偉人であるため、天もその誕生日を知って祝賀のため珍しい光景を繰り広げ
たのだ」と気象台関係者の話も紹介している。

 

権力者の神格化ほど醜いものは無いが、かつて我が国は神州であるとして世界に
戦いを挑む羽目になったこともあり、現人神の天皇陛下をして人間宣言をさせる
歴史を持っている。むろん、ここまで露骨な神格化が行われたことはないであろ
うし、あくまで精神的主柱として表には滅多に出てこない存在であったのは間違
いないことだろう。人民を飢えさせた指導者を、どう転んでも感激することなど
どだい無理な話なはずだが、体制維持のためあることないことでっち上げてで盛
り上げる空虚な世界を作り上げている。このような国が日本海を隔てて存在する
こと自体が驚きであり、同じ民族の韓国も表向きは親近感を持っているとしても
合邦となると躊躇しているはずだ。

 

ある意味では神秘的な国かもしれないが、権力者崇拝が如何に愚かで醜いことで
あるかは歴史が証明している。あくまで国内問題であるし、いちいち突っ込みを
入れても仕方の無い部分であるから、この手の宣言放送は無視しておくのが一番
である。偉大なる将軍の姿をブラウン管を通して見ている我々にとって、敬愛の
仕様が無いことは重々承知しているのだから。