小泉純一郎首相と民主党前原誠司代表による党首討論が22日午後、国会内で
開かれた。ライブドア前社長・堀江貴文被告から自民党武部勤幹事長の二男へ
の「送金」メール問題について、民主党が信ぴょう性を立証できるかどうかが焦
点だったが、前原氏は「さまざまな情報から資金提供がなされたのではないかと
確証を得ている」と指摘するにとどまり、新証拠は示せなかった。これは民主党
がメールの信ぴょう性の立証を事実上断念し、資金提供の有無に争点を変更した
ものと言える。前原氏はこれまでメールについて「信ぴょう性は高い」と述べて
きており、今後、前原氏をはじめ民主党執行部に対する批判が高まりそうだ。

 

民主党にとって最大の武器となるはずだった送金メールだが、放ったはずの矢は
自民党へと届かず自らに戻ってきてしまったようだ。論点のすり替えとも言える
資金提供の有無への矛先の変更は、あまりにいい加減ではないか。自ら証拠とし
て出したメールが、集中砲火を浴びて使い物にならなくなった途端の方針転換で
は、公党として恥ずかしいだろう。少なくとも私人に関することまで持ち出され
たのだから、「あのメールは偽物の可能性が非常に高い」とでも公式に発表しな
いことには、追求を受けた武部幹事長としても納得はいかないであろうし、そこ
をうやむやのままに終わらせては今後民主党にとっても大きな禍根を残すはずだ。

 

不協和音の続く民主党内でも「前原おろし」が激しくなるのかもしれないが、自
らの責任を持って自民党を追い詰めるための武器として、このメールを投入した
のであるから、それなりの責任をとらざるをえないだろう。小泉首相の「本物か
偽物か分からないという段階で、実名まで挙げて、個人を公の場で批判する非難
する中傷するのは、国会議員としての品性の問題というか、極めて遺憾なことだ
と思う」との見解は正にその通りだ。民主党は証拠固めをきちんとした上で、提
出すべきかすべきでないかを判断するべきであった。4点セットがどうのと浮か
れすぎていたのではなかろうか。

 

むろんこの問題と切り離して堀江氏と自民党との資金のやり取りを考えるのは、
それはそれで結構なことである。ただ、それが事実であると一方的に決め付けら
れた上で、怪文書まがいのメールで追及されたことが問題なのだ。そういったも
のを出して追求しようとした民主党が批判されるのは当たり前のことであろう。