「ガセネタ」とまで批判されたライブドア前社長の堀江貴文被告の「送金指示
メール」問題。メールの存在を指摘した民主党永田寿康議員が突如、議員辞
職の意向を示し、同党に23日、激震が走った。前原代表ら執行部は国会内の
控室で協議を重ね、党本部にも抗議電話が殺到。同僚議員も、いらだちを隠せ
ない様子だった。民主党野田佳彦国会対策委員長が、午前10時から国会内
で会見を予定していたため、100人近い報道陣が詰めかけたが、野田国対委
員長が姿を見せたのは2時間近くたった午前11時50分ごろ。永田議員の進
退問題について、「昨日、話を聞いた」と厳しい表情で永田議員が辞職の意向
を示していることを認めた。また、鳩山由紀夫幹事長は「メールの真偽につい
て補強する材料がそろっていない事態を深刻に考えている」と述べた。

 

それなりの責任の取り方として永田議員は辞職を選択したのであろう。あやふ
やな情報をもとに私人を槍玉に挙げて、さらにそれが真実であるかもわからな
いまま一方的に叩かれては私刑と変わらない。自民党からも「民主党に大失策
が起こっている。政治不信を非常に増しており甚だ遺憾だ」「政党として危機
管理能力が問われる事態だ」とメールの真偽について確証のないまま国会で追
及した民主党を厳しく批判する声があがっており、4点セットにおける攻勢で
息巻いていたのはほんの少し前であったにも関わらず、一気に巻き返されてし
まった。あまりに稚拙なやり方が生んだ今回の失態は、抗議電話が殺到するの
も無理は無いだろう。

 

民主党は敵失があって攻勢に出ようとするたびに、所属の議員がトラブルを起
こしたりと「自爆」により勢いを失うことを繰り返してきた。それをうまく利
用する形で、本来追求される立場だった自民党が問題が民主党にあるかのよう
に転換し、切り抜けてきた。このようなことを繰り返していては、いつまでた
っても民主党は政権準備政党になどなれないだろう。党首討論でおまけのよう
にこのメール問題を取り上げた前原代表の姿は、虚勢としか見えなかったのは
残念なことだ。