海上自衛隊護衛艦あさゆき」のデータ流出問題をめぐり、昨年秋以降、同
艦以外の少なくとも4人の海自隊員から『秘』扱いの電報を含む資料4件がネ
ット上に流出していたことが28日、防衛庁海上幕僚監部の調査で分かった。
海幕は流出させた隊員を懲戒処分にする方針だ。海幕によると、流出したのは
艦艇を識別するコールサインや「秘」電報など。「あさゆき」のケースと同様、
隊員が無断で持ち出したデータが、ファイル交換ソフトウィニー」を入れた
私物パソコンから流出していた。流出させた隊員の中には尉官以上の若手幹部
もいた。

 

ここで問われるのが、情報漏えいを引き起こした海自隊員の危機管理の無さで
ある。作業が便利になるよう私物のパソコンにもデータを入れていたのであろ
うが、あまりに杜撰な管理に自衛隊への国民の目は厳しいものとなるに違いな
い。斎藤隆海幕長は、一連の流出事案を受けて「断腸の思いだ」とし、過去の
流出事案を含め、流出した「秘」相当のデータや情報などについては「既に内
容の変更などを実施しており、防衛に与える影響を最小限に抑える努力をして
いる」と述べたはいるものの、機密を守るために中国で殉職した領事館員がい
たと思えば、それとは反対に自ら情報を無作為にばらまく自衛隊員がいたこと
は嘆かわしいではないか。

 

我が国の軍隊である自衛隊は、訓練は行き届き武器の性能も最新鋭であるとさ
れ、世界の中でも秀でた軍隊であったはずであるが、その実態は末端が起こし
たこととは言え、あまりに適当な情報管理に開いた口がふさがらない。北朝鮮
や軍事的脅威である中国が海を挟むとは言え近隣に存在する以上、常に緊張感
をもって有事に備えて欲しい。むろん戦争をしないための努力を政治が行うべ
きであり、あくまでいざと言う時の備えであるのは言うまでも無いことだが。