民主党前原誠司代表は5日午後、鳥取県米子市で講演し、「送金指示」メール
問題に関して「大変な心配と迷惑をかけた。民主党が上げ潮の中で小泉政権を攻
め立てていた時にこの問題が起きた。すべて党の最高責任がある私の責任だと感
じている」と謝罪した。前原氏は「少なからず民主党には大きなダメージになっ
た」と総括した上で「党の立て直し、政権交代の受け皿としてしっかりとした考
え方をまとめ、党の一体感を生み出して皆さんの負託に応えるために懸命に努力
したい」と理解を求めた。前原氏はこの後記者団に、代表辞任を求める声が地方
組織から上がっていることに関して「『現執行部で頑張れ』という激励をもらっ
たのでしっかりと頑張っていきたい」と重ねて引責辞任の可能性を否定した。

 

前原代表にとっては全国へのお詫び行脚となってしまったが、今はひらすら陳謝
して失った信頼を取り戻すほかはない。新たに国対委員長となった渡部恒三氏が
代表選の前倒しを発言する中、執行部としては早くも足並みが整っていないこと
を露呈してしまったのは、致命的ではある。誰かが国対委員長を引き受けない限
り前原体制はもたないとして就任したのが当の渡部氏なのである。その舌の根も
乾かないうちに前原体制を事実上、早めに終焉させると宣言したようなものでは
ないか。地方組織からは永田議員の辞職を求める声や執行部の一新など、前原体
制を根底から揺らがすような声が出てはいるものの、前原氏は辞任をせずにこの
難局を乗り切ってこそ意味がある。

 

永田議員が犯したミスは民主党に大きなダメージを与えてしまったが、これをも
って確かかもしれない疑惑の追及がしづらくなってしまっては困る。十分に裏付
けもせずに送金の事実を一方的に断定してしまったやり方は論外としても、裏付
けの上で国政調査権を発動するようなケースが今後は難しくなるかもしれない。
民主党自体が云々と言うよりも、疑惑を追及出来なくなる方がもっと深刻な問題
であろう。永田議員は大きすぎる禍根を残してしまったものだ。