自民党森喜朗前首相は12日のテレビ朝日番組で、9月に自民党総裁任期が
切れる小泉純一郎首相の後継問題で、安倍晋三官房長官の「温存論」を重ねて
披露する一方で、安倍氏が首相になった場合、日中関係に配慮して靖国神社
拝を控えるとの見方を示した。小泉首相靖国参拝で冷却化している日中関係
に絡んで「小泉首相と同じことをやる安倍さんは危険だと考えるからいけない。
私はやらないと思う。時と条件と場所をよく判断されると思う」と指摘した。
日本世論調査会が実施した調査で「次期首相にふさわしい人」として、安倍氏
に次いで福田康夫官房長官の名が挙がったことに言及し「本人は『やらない』
と言っているのになぜ2番手になるのか、よく考える必要がある。世間、経済
人に期待している人が多い」と述べ、待望論があることを強調した。

 

自派閥に総裁候補が2人もいることで、森前首相も対応に苦慮していることで
あろうが、安倍氏の温存論をぶち上げることは小泉首相の後継を福田氏にしよ
うとの動きと一致する。靖国神社への参拝を中止することで、本当に日中関係
が大きく改善されるのかと言えば、首相まで務めた森氏ならわかることではな
いか。我が国が国連の常任理事国入りを表明した後も、ありとあらゆる手段を
使い阻止運動をしたのもまだ記憶に新しい。官製デモによって、領事館が被害
を受けた上に、明確な謝罪も賠償もせずに居直った中国は、我が国にとって避
けては通れない相手なのだ。日中協議におけるガス田の共同開発にしても、わ
ざわざ我が国の領海すれすれを共同開発地域に指定してくるなど、少なくとも
中国側は譲るつもりは一切無い姿勢を貫いている。

 

歪な日中友好を続ける限り、将来的に我が国は中国の前に屈することとなるの
は明白であろう。最前線たる尖閣諸島の問題にしても、長年事なかれ主義で放
置してきてしまった結果によるものであるし、東シナ海の資源にしてもそうで
ある。手遅れになろうかと言うタイミングで泥縄式に対応をとったところで、
中国に足元を見られるだけではないか。靖国神社で引けば、本当の日中友好
実現するなどと夢想も良いところだ。