麻生外相の中国に関する発言などに、中国政府が反発するケースが目立っている。
政府内では「外相発言の批判部分ばかりに注目して対立を深めていることは日中
両国にとって不幸だ」と懸念する声があがっている。麻生外相は15日の参院
算委員会で、中国と北朝鮮の貿易量増大に関し、「助けているのではないか」と
不快感を示し、中国側に説明を求めていると強調した。これに対し、中国外務省
の秦剛・副報道局長は16日の記者会見で「中朝貿易について、日本が中国外務
省に交渉で説明を求めてきた事実はないし、このようなことは認められない」と
述べ、「日本外交当局の最高責任者が近ごろ、外交常識に背く言論を何度も発表
しているのは、理解しがたい」と外相を批判した。

 

さらに秦副報道局長は15日夜にも、外相が13日付の米紙「ウォール・ストリ
ート・ジャーナル」に寄稿した「日本は中国の民主的な将来を歓迎する」と題し
た論文を批判し「日本の外交当局の責任者が中国の政治体制にとやかく言うのは
極めて不適切だ」とする声明を発表している。最後の声明はそっくりそのまま中
国の外相にお返ししたいと言ったところか。李外相が「小泉首相には期待しない」
とまで放言し、日中関係を改めるのはポスト小泉が靖国神社への参拝を止めるこ
とだと踏み込んだ発言を繰り返してきた。もともと外交常識など屁とも思ってい
ない中国に批判される故はない。一党独裁体制を批判するのは、歴史を鑑とすれ
ば当然であろう。

 

麻生外相は意図して中国批判を繰り返しているのであろうが、米国防総省のピー
ター・ロドマン次官補が米連邦議会の諮問機関「米中経済安全保障検討委員会」
に提出した書面証言で、2006年の中国の軍事予算は700億―1050億ド
ルにのぼり、多ければ日本の防衛予算465億3000万ドルの2倍以上と推計
していること明らかにしている。我が国の防衛予算の半数は人件費に消え、兵器
の調達も国産やライセンス品で割高についているのが現状である。人件費の高騰
と言う理由だけでは当然納得は出来ない。脅威を波及させているのは、中国であ
ることを決して忘れてはならない。