外務省が上海総領事館員の自殺問題を受けて職員向けに作成した情報工作対策
の研修資料が4日、明らかになった。「機密を知る一部職員を狙った特殊活動」
という思い込みを一掃するため、(1)狙われやすいのは一般職員(2)情報
漏えいの80%がパソコンなどから(3)高級ホテルも舞台−などと強調して
いる。資料は、上海総領事館問題を具体例に挙げ、「情報のプロ」にとっては
一般の職員、在外公館員の方が「ローリスクかつハイリターン」の対象と指摘。
さらに「脅威」は国内外、職位の高低に関係ないとして、警戒感が薄い国内の
一般職員の意識改革を促している。

 

戦後、徹底的に破壊されてしまった我が国の情報機関がしっかりとしていれば
このような研修資料を配布することもなかったであろう。今ではスパイ天国と
揶揄されるような我が国の防諜能力であるが、外交官試験を突破したエリート
集団である外務省がこの体たらくでは、それを証明しているようなものではな
いか。果たしてこの資料が何の役に立つかは知らないが、工作活動は間違いな
く外務省の職員がターゲットになるのであって、常に警戒感をもっておかねば
なるまい。我が国は世界において、それなりの影響力を持ち日米の軍事同盟も
強固である。その国の情報がダダ漏れであるなら、これほど楽なことは無い。
防諜体制が整えずして、機密を扱う恐ろしさは言うまでないだろう。