北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさんの父滋さんらは15日午後、羽田発の
定期便でソウルに到着し、北朝鮮向けの放送をするラジオ局で、めぐみさんら
に対するメッセージを収録した。滋さんは「めぐみちゃん、お父さんです。日
本中の人が1日も早く帰ってくるのを待っています」と心を込めて呼び掛け、
めぐみさんの弟哲也さんも「もう少し辛抱してください」と語り掛けた。18
日から4日間で計6回繰り返し放送される。16日にはめぐみさんの夫の可能
性が極めて高い韓国人拉致被害者金英男さんの母崔桂月さんらと初対面する。

 

娘を思う父の気持ちが素直に伝わるメッセージだ。ある日突然、拉致と言う国
家的犯罪に無辜の少女が巻き込まれ、それが拉致であると認定されるまでどれ
だけの時間を要したことであろうか。韓国政府は拉致に消極的であるとされる
が、このような20年以上に渡り文字通り孤立無援で戦い続けきた拉致被害者
家族の姿を見ても、なお拉致と言う存在に目を背けようとするなら、日韓が連
携しての拉致問題解決などとうてい実現不可能な話になってしまう。拉致問題
が解決しないまま、北朝鮮に貢物を送るが如く援助を続けることに何の大義
あると言うのだろうか。

 

解決の糸口が見えないまま、拉致被害者の家族は焦燥感を見せることなく今な
お戦い続けている。この姿勢には本当に感服するばかりだが、その背中を支え
るのは我々ではなかろうか。あまりにか細き体は、長きに渡る戦いの中で疲弊
し、それでも渡韓し韓国人拉致被害者の家族に会おうとする、いったいどこに
そのような力があるのだろうと感心してしまうのだ。韓国政府高官は横田さん
と会う必要はないと切捨て、訪韓の意味が良くわからないととぼけている。重
大な人権侵害を容認すると言う姿勢なら、それは見過ごせない。