日中領事当局間協議が5日、都内で開かれた。在上海日本総領事館の館員が2
004年に中国情報当局から機密情報などの提供を強要されたとの遺書を残し
自殺した問題について、日本代表の谷崎泰明外務省領事局長は「厳重に抗議し、
事実の徹底究明を求める」と、中国に改めて抗議した。中国外務省の魏葦領事
局長は「(館員の自殺は)中国政府とは無関係だ」と従来の主張を繰り返した。
協議では、日本側が中国人による不法残留、犯罪などの実態を説明し、中国側
に出国管理の徹底や犯罪防止に向けた協力を求めた。鳥インフルエンザ・新型
インフルエンザ対策については、協力を強化していくことで一致した。

 

アリバイ作りではないが、総領事館員の自殺を中国側に抗議するのはどう考え
ても今更感があり、とりあえず抗議しているだけなら遺族に対しても失礼にあ
たるのではないか。抗議をするのは遺書を残して自殺をされてからすぐに行う
べきであるのに、1年以上も放っておいてメディアによって嗅ぎ付けられると
中国に形ばかりの抗議を行った。そこまで放置しておいての抗議に中国も別の
意味で驚いたことであろうが、このような外務省だからこそ組しやすいと改め
て思ったに違いない。国を売ることは出来ないとの悲痛な叫びはどうやら外務
省には全く届かなかったのが残念でならない。

 

日中間の外交だけでなく、世界を相手にする外交を我が国はあまりに疎かにし
過ぎてきたのではないか。アジア外交の重視などと言われているが、果たして
どのような構想をもっての外交なのだろうか。靖国神社に行く行かないが、外
交ではなかろう。今までのように場当たり的な外交を繰り返していけば確実に
我が国は外交的な失敗を積み重ね、今の立場を失うだろう。本来それを憂うべ
き外務省の外交官達はどう動いてくれるのか、信頼して良いのか悩むところだ。