中国上海市で昨年4月に起きた反日デモで投石などの被害を受けた日本総
領事館の修復をめぐり、上海市政府が日本側の求めてきた原状回復に同意
したことが20日、分かった。同総領事館が明らかにした。資材の選定な
どで両者の折り合いがつかず、デモ発生から1年以上たっても、割れた窓
ガラスをさらすなど当時の傷跡を残したままだった。工事は早ければ7月
下旬にも始まり、年内には元の状態に戻る見込みという。総領事館による
と、上海市側は原状回復には大筋で合意してきたが、日本側が資材を日本
から輸入するよう求めたのに対し、費用の問題などから中国製による修復
を模索してきた。しかし、資材は中国で見つからず、5月下旬に日本側の
要求に同意したという。

 

こういったニュースはもっと大々的に報じるべきであろう。中国が知らぬ
存ぜぬで通そうとしてきた反日デモにおける被害の修復が、今ようやく始
まろうとする段階まできた。おそらく総領事館側は自ら修復作業をしては
意味が無いと判断したのか、本国から通達があったのか、割れた窓ガラス
をそのままに放置し、反日デモの被害補償が未だ済んでいないことを抗議
していたのだろう。中国側も当初は反日デモと関連性の無い我が国の歴史
認識を持ち出して、逆には批判を加えてくるなどあまりに横柄な姿勢を繰
り返してきたが、それはあくまで国内向けの姿勢であり、ほとぼりがさめ
たが後に修復に同意するあたりからして、必ずしも反日デモのもたらした
被害を好ましいものだとは思っていないのではないか。

 

最後まで費用負担を軽減しようとするのは苦笑してしまうが、反日デモ
もたらした我が国の反中感情を和らげるには、靖国神社をはじめとして我
が国の歴史に口を挟むような真似は慎むべきだ。「礼節の国」と称された
中国が、一つの問題を理由に首脳会談を拒否し、さらには次期首相候補
まで靖国神社の参拝をするなと言うのはあまりに酷い。それを甘んじて受
け入れる理由は何処にも無く、国民の間にでは反中感情が膨らんでいくこ
とであろう。外向きと内向きの対応を使い分けなければならないような国
家運営は、少なくとも健全なものではないのは確かだ。