具体的進展のない北方領土問題について、北海道根室市の藤原弘市長は27
日の定例市議会一般質問の答弁で「歯舞、色丹を解決の糸口として交渉する
のも一つの有効な戦略ではないか」と述べた。市によると、これまで藤原市
長は「4島の帰属の問題を解決し、返還時期は柔軟に対応する」との考えを
示していた。歴代市長が歯舞、色丹の2島を先行返還する段階的返還を提言
したのは初めてという。藤原市長は議会で「4島の主権と帰属が日本にある
ことは譲れない」とした上で「プーチン大統領が日ソ共同宣言に基づく歯舞、
色丹の引き渡しを表明していることを考えると、ここを解決の糸口として現
状打破する交渉も一つの有効な戦略となるのではないか」と述べた。

 

ロシアと言う国は自分が困っている時には擦り寄ってくるが、昨今のように
原油価格の高騰で財政が潤ってくると手のひらを返したように、北方領土
題が無かったかのように振舞う、先の大戦で火事場泥棒根性を発揮したのも
頷ける。国後島では「ロシアと日本の国家国境問題の歴史」と題する16ペ
ージの冊子がロシア島民やビザなし交流などで訪れる日本人に配られている
ようだが、史実とは異なる内容が記載されており、ロシアは北方領土を不法
に奪ったのではなく、もともとロシアの領土であったと言う正当性を積み重
ねていこうとする魂胆のようだ。歴史を捻じ曲げてまで維持しようとする不
法占拠に何の大義があろうか。

 

藤原市長の2島先行返還論も、我が国側も着々と北方領土を取り返すのだと
言う意志の表れなら結構だが、とりあえず2島、残りの2島はうやむやにな
るのだけは避けねばならない。竹島にせよ、数十年も他国の不法占拠をされ
ていてもただ手をこまねている状況が、今後も続くようなら決してプラスに
なることはなく、どこかではっきりと白黒をつけねば今以上の禍根を残すこ
とになる。それだけは間違いないことだ。