横田めぐみさんの夫の可能性が高い韓国人拉致被害者、金英男さんと、母
親の崔桂月さんら家族との面会が28日、北朝鮮景勝地金剛山のホテ
ルで、28年ぶりに実現した。同行した韓国記者団によると、面会は、ほ
かの離散家族とは別に用意された個室で行われ、英男さんは、めぐみさん
の娘キム・ヘギョンさん、現在の妻子とともに姿を見せた。英男さんが車
いすの崔さんのもとに近づくと、崔さんは「息子よ」と顔をくしゃくしゃ
にして号泣しながら、英男さんを抱きしめた。「私が息子です」と答えた
英男さんも、車いすを押すなど母親の体を気遣いながら、「これから親孝
行します」と涙を流した。

 

世界が北朝鮮テポドン発射実験に注目する中、韓国人拉致被害者家族と
被害者を面会させるのは、やはりこのタイミングだからであろう。もとも
と韓国政府は北朝鮮を刺激しないためか、拉致そのものに消極的で朝鮮戦
争で離散した家族と拉致被害者家族を一括りに扱っており、拉致を前面に
押し出すことは無い。本来であれば、横田めぐみさんの夫が韓国人の金英
男さんであるとするなら、日韓が連携する格好の材料となるはずが、見事
に韓国は北朝鮮に利用され、再会を歓迎するようなムードを作り出そうと
している。これには我が国の拉致被害者家族会はどうすることも出来ず、
再会を喜ぶ韓国人家族に北朝鮮の策に乗るなとも言えない。

 

他国の人間を連れ去っておきながら、恩着せがましく再会させてやろうと
する北朝鮮の態度は許しがたいものであるし、離散家族の再会など額面通
り決して受け止めてはいけないことであろう。人権弾圧が公然と行われ、
さらには弾道ミサイルを脅迫の材料として持ち出してくるような国家には
どうあっても妥協するわけにはいかない。日米が毅然とした対応で迫るよ
うに韓国も、親北路線を転換した上でもっと現実的な対応をとった方が、
何よりも韓国国民にとって有益ではなかろうか。