サンクトペテルブルク・サミットで核開発、弾道ミサイル、拉致といった
北朝鮮をめぐる問題が2日目の16日に一括して討議されることが8日ま
でに固まった。日本は、ミサイル発射を受け、経済制裁など厳しい対応を
求めると同時に、拉致問題解決の重要性を訴え、参加各国から支持を引き
出したい考えだ。北朝鮮の核、拉致問題などは昨年のグレンイーグルズ
サミットを含め過去のサミットでも議長総括に盛り込まれており、各国の
思惑に違いがある中、「北朝鮮に解決を迫るこれまで以上に厳しい態度」
を最終文書に明記できるかが焦点。サミット前に行われる国連安全保障理
事会での制裁決議案採決の結果も影響しそうだ。

 

北朝鮮への対応で各国の思惑が交錯する中、我が国がどうイニシアチブを
握れるかが、このサミットのカギとなるだろう。ホスト国のロシアは友好
国として、北朝鮮への対応を安保理の決議ではなく議長声明に留め置こう
としているが、国際社会が一致して北朝鮮への厳しい態度で臨もうとして
いる現状において、さすがに絶対に反対とは言いにくいのではないか。む
ろん、それはサミットへの参加資格を持たない中国も同様であろう。現実
にミサイルを7発撃ち込むと言う「暴発」をした北朝鮮をいつまでも擁護
することは、中露の国際的地位を低下させるだけでなく、北朝鮮が中露を
後ろ盾として、さらなる暴発を繰り返しかねない。

 

それは中露とて望むものではないだろう。特に中国は六ヶ国協議のホスト
として、北朝鮮が協議のテーブルにつくように多くの努力をしてきたのに
この有り様なのだ。それでもなお、北朝鮮に最後のチャンスをやろうと言
うのなら、中国は世界に恥を晒すだけではないか。自ら脅威をばら撒いて
相手に譲歩を迫る、そのような瀬戸際外交が通用する時期はとうに過ぎて
しまったことをいい加減わからせてやらねばなるまい。