新日本を離脱した藤波辰爾の新団体の名称が「無我ワールド・プロレスリン
グ」に決まった。田中秀和リングアナが12日、発表した。弟子の西村修
自主興行新無我伝説」が発展して9月中に旗揚げを予定する新たな舞台。
自前のリングも手に入れ、会社も近く登記される。藤波は「新無我―」のカ
ード発表に集まった6人の選手に囲まれた。「それぞれの思いを持って退団
し、新たな可能性を秘めた大会が始まる中、1人1人の思いが伝わって来る。
自分も全力を尽くしたい」。言葉に決意がこもる。自主興行も、相手が決ま
っていない藤波戦を含めても4試合だけ。「普通は6、7試合組む。それを
しないのは意地」。同じ志を持つ者だけで理想の試合を見せる。

 

新日を名実共に支え続けた藤波が退団したことにより、以前から独自に展開
していた「無我」を旗印に西村修ら、元新日のレスラーが集い新団体として
再出発することとなった。新日にとって年間を通じてのメインイベントの東
京ドーム大会も、観客動員が誰の目にも明らかになるほど減少し、次代のエ
ースを担うはずの第5世代はまだまだ観客を呼べるだけのレスラーとは言え
ない。結局のところは第4世代がメインを張り続け、そこに元WWEのブロ
ック・レスナージャイアント・バーナードを投入し、何とか形にしている
のが現状であろう。相次ぐレスラーの退団が新日の衰退ぶりを象徴している。

 

王道プロレスの実現を目指して全日の元役員によって立ち上げられた「キン
グスロード」も興行的には大苦戦し、結局のところ5回興行を打っただけで
活動を停止。目指していたはずの王道から外れたようなカードがそもそもの
原因のようだが、藤波が立ち上げた「無我ワールド・プロレスリング」もあ
くまで理想を追及する団体であるなら、興行的にはかなり難しいところかも
しれない。メインカードも西村修VSヒロ斉藤、と聞いて食指を動かすプロ
レスファンがいるかどうか、自主興行の成果を見てから判断するとしよう。