日本遺族会会長を務める自民党古賀誠元幹事長は25日、都内で開かれ
共同通信社の「きさらぎ会」で講演し、昭和天皇靖国神社A級戦犯
合祀に不快感を示したとされるメモについて「涙が出る思いだ。陛下の心、
思いを遺族として重く受け止めたい。遺族会会長としても責任が重い」と
強調した。その上で「遺族会も勇気を持って、その問題に真正面から取り
組む姿勢が極めて大事だ。国民がわだかまりなくお参りでき、皇室もお参
りできる対応をしなくてはならない」と述べ、A級戦犯分祀が必要との考
えを重ねて示した。

 

まず富田メモも真偽はおいておくとして、昭和天皇A級戦犯の合祀に不
快感をもっていたとされることが一人歩きしていないか。そもそもこのメ
モは多分に政治的な意図をもって、今このタイミングで公開しており、そ
う言う意味でも天皇陛下の政治利用である。天皇陛下がこう仰っているの
であるから、A級戦犯の祀られた靖国神社への参拝は相成らぬんでは、ま
ったくもって話にならないだろう。神道の教義上出来ないとされる、分祀
を論じ続けることは非生産的であって、廃祀にまで踏み出す気構えもない
のであるなら、議論を続けるだけ無駄である。

 

昭和天皇の名を持ち出してまで、A級戦犯分祀を迫る勢力は政界・財界
にいるのであろうが、社員のインサイダー疑惑と言う経済紙にあるまじき
不祥事を犯した日経にとっては、何よりの「スクープ」であった。不祥事
潰しに利用したと言われても仕方ない、絶好のタイミングではあったが、
一社の利益のために大きな波紋を呼んだことの自覚は彼等にあるのだろう
か。真偽を論じる前に、メモが一人歩きし分祀論を後押ししているのは、
メディアの責任である。非常に腹立たしいことだ。