イラク南部サマワから撤収した陸上自衛隊部隊の隊旗返還式が29日、陸
朝霞駐屯地で行われ、第10次復興支援群を指揮した山中敏弘1等陸佐
額賀福志郎防衛庁長官に隊旗を返還した。式典に出席した小泉純一郎
相は、「厳しい状況の中で1発の銃弾も発することなく、困難な仕事を立
派に果たされ、高い評価を受けた。諸君の活動を誇りに思う。ありがとう」
と隊員をねぎらった。さらに、「活動は日本国民、イラク国民の記憶に残
ることと思う。これからもこの貴重な体験を踏まえ、国民とともに歩む自
衛隊として研鑽を積んでいってほしい」と述べた。

 

ひとまず無事に陸上自衛隊の部隊がサマワより撤収が出来たことにほっと
した、と言うのが率直な感想だ。本格的な海外「派兵」となったイラク
復興支援活動は、戦闘地域・非戦闘地域の区分が曖昧だっただけでなく、
武器使用基準も犠牲が出ないことには使用出来ないような、非常に隊員に
とっては危険極まりない体制のまま送り出されていた。英軍や豪軍が前面
に立っていてくれたからこそ、陸自も復興支援に専念出来たとも言えるが、
何よりも他国の軍隊に守ってもらう軍隊など、やはりおかしい限りである。
そのような自己矛盾を抱えたまま、今後も海外に出て行くのだけは避けね
ばなるまい。

 

我が国においても陸自の活動を非難するような輩もいるにはいたが、多く
の日本人はこれが軍国主義の復活につながるなどと言う愚論は相手にはし
なかった、ほぼ無関心だったと言うことも出来るかもしれないが・・・少
なくともいつ襲われるかわからない海外を経験した陸自にとって、法的な
不備は色々とあったものの、間違いなく貴重な経験を積めたと思われる。
サマワへの「派兵」は対米追従と批判されながらも、こうして無事に帰っ
てきた陸自の隊員をねぎらいたい。それが今の率直な気持ちだ。