日中関係の改善策を議論した今月3、4日の第2回「東京―北京フォーラ
ム」を主催した言論NPOと中国日報社、北京大学は、日中両国で計26
13人を対象に行った共同意識調査の結果を発表した。靖国神社の参拝問
題について「日本の政治家が参拝しても構わない」と答えたのは日本側が
27%だったのに対し、中国側は3%にとどまった。日本側は、「政治家
は参拝すべきではない」が18%だった。中国側は、「どんな状況でも参
拝してはいけない」が51%で、「戦犯をはずせば参拝してもよい」は3
0%だった。両国で「解決すべき歴史問題」は、日本側は「首相の靖国
社参拝」が55%と最も多く、次いで「中国の教育や教科書内容」が46
%だった。中国側は「南京大虐殺の問題」が66%でトップで、2位の
「首相の靖国神社参拝」も60%に上った。

 

日中関係の改善策を議論をしたとあるが、この調査対象はどの程度の信用
性をもったものか甚だ疑問である。中国で靖国神社の存在を知って、そこ
がいかなる施設なのかを理解している人間が、果たしてどれだけいるので
あろうか。その日暮しのような層が大半の中国にとって、我が国の靖国
社の存在などはっきり言ってどうでも良い話なのだ。中国共産党が外交カ
ードとして利用しているだけであり、国内的には都市部のインテリ層が知
っている程度の非常にローカルな話題ではないか。一つ気になる回答とし
て「戦犯をはずせば参拝してもよい」の戦犯とはいわゆるA級戦犯だけで
なく、B・C級も含んだ全てを指すと言うのだろうか。東京裁判として平
行して行われた各国での戦犯裁判では、不当な扱いを受けた挙句に無実の
罪を着せられた人々も多いと聞く。我が国ではA級戦犯分祀論がぶち上げ
られているが、A級を外した途端にB・C級について注文をつけてきたら
どう対応するのだろうか。如何に分祀論が場当たり的なもので、政治的な
意図を持った愚策であるか、押して知るべし。